『私は貝になりたい』を見て…

先日『私は貝になりたい』の試写会に行ってきました。


中居くんの演技がかなり迫真の演技で、最後まで息もつかせない感じで、重いテーマの話なのに2時間20分程の映画が短く感じられました。


戦後の戦犯裁判により死刑を言い渡された人々の中には、この主人公のように、上官の命令でどうしようもない状況で敵兵を殺し(この主人公は実際には殺していませんが)、死刑になった人がどれほどいたのでしょう。

日本人というものが理解できなかった、外国人の一方的な裁判でした。

あまりに厳しい判決にやりきれない思いでした。


この映画の中で上官役の石坂浩二が死刑執行前に言った最後の言葉が胸を突きました。
国際条約により一般の人々を攻撃してはならないと決められているのに、無差別攻撃をして大量殺戮をし、町を焼き尽くした敵軍を痛烈に非難します。
この物語で一番訴えたかった事なのではないでしょうか。



中居くんはこの映画の為に坊主頭になっていますが、劇中妻役の仲間由紀恵さんがバリカンで髪を剃るシーンは、実際に中居くんの髪を剃っりながらの演技で、ワンテイクしか出来ない撮影にかなり緊張されたようです。


仲間さんは美しくて、夫が捕らえられている間、小さな子供達を育て家を守り抜く、芯のしっかりした妻役を好演。
でもね…あの台詞廻しは何とかならないんだろうか…(汗)


鶴瓶さんが良い味を出してました。


最後に流れた豊松の言葉。
生まれ変わるならもう人間にはなりたくない…
そうだ、何も聞こえない海の底の貝が良い…
どうしても生まれ変わらなければいけないなら、私は貝になりたい
そのタイトルの言葉で映画は終わります。

人間の残酷さに疲れ果て、愛する家族を守る事も出来ずただ心配するしかできない自分に疲れ果て、人間に絶望して出てきた言葉なのでしょう。

救いようのない空しさに襲われました。

このように亡くなった戦犯の人達は沢山いますが、御遺体は家族の手元には戻りません。
その人達も靖国神社に祭られているのでしょう。

試写会には中居くん主演の為か、20歳代の若い人が多かったです。
先の戦争の敗戦国側からの視点を知らない世代だと思います。
そんな世代の人達にこそ見て欲しい映画だと思いました。

そして、戦争体験者は何が真実だったのか、生きている間にきちんと伝えて欲しい。

勝った者の論理を押し付けられたままでなく、今の価値観で語られるものでもなく、その時代の真実が必ずあるのだから。
自虐史ばかりでなく、母国を愛し誇りに思える歴史も必ずあるのだから、もっとそれを伝えて欲しい…

そう考えるのは私だけなのでしょうか?


映画を見て、ふと、マチュピチュを見た時のASKAの言葉を思い浮かべました。
『歴史は嘘だ!
勝った者の論理で作られていく…』


それは昔も今も、人間が人間ある限り続いていくのでしょう。


かなり重い感想ですみません。


美しい映像、音楽が心に染みました。
そして限りなく強い夫婦の愛がここにはありました。

今日は『良い夫婦(11/22)の日』です。
今日から公開です。